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ひとたびはポプラに臥す 1


☆30年ぶりに宮本輝と再会.

以下に、書籍「ひとたびはポプラに臥す1」の表紙写真を添付します。
ひとたびはポプラに臥す 1 _b0312424_671759.jpg

創価の森ブログが縁で、お会いした婦人部のFさんという人がいる。
このFさんから、小説家の宮本輝(みやもとてる)をこよなく愛されていると聞いた。
「ひとたびはポプラに臥す(ふす)がお勧めです」とのこと。
鳩摩羅什(くまらじゅう)をテーマとして、シルクロードの旅を記した本だという。
法華経をサンスクリット語から漢訳した鳩摩羅什‥興味が湧いた。
「ポプラに臥す」との題名が心に残り、吸い寄せられるように、先日、本屋に入った。
しかし、その書籍はなかった。仕方なく、別の本屋で探してみた。
そこにも無い。何とも悔しい。新宿の紀伊国屋書店にまで足を運んだ。やっと購入した「ひとたびはポプラに臥す 1」が上写真である。
書籍は全6巻であったが、購入したのは1巻のみである。
果たして、宮本輝とはいかなる小説家であろうか‥
Fさんが熱中するほどの魅力が、本当にあるのだろうか?

○30年ぶりの再会.

私は、太宰治賞をとった「泥の河」という小説を大学生時代に読んでいる。
しかし、当時、私はその小説の意味がよく分からず、暗く地味なストーリーに違和感を覚えたまま、30年も宮本輝とは縁がなかった。
読み始めて思ったことは、泥の河とは全く雰囲気が違うということ。
この本は小説ではないように感じる。あえて言うなら旅行記である。
しかし、単純に旅行記とするにも違和感がある。

1995年5月からこの物語は始まる。
宮本輝は6700kmの旅を40日にわたって続ける。
さぞかし、感動の旅であったに違いないと期待していたが、冒頭に「虚しい旅であった」と書いてあった。
「何だ? 鳩摩羅什を発見する旅が虚しい?」
オカシイ、鳩摩羅什の人生が虚しいはずはない。
やっぱり私は、宮本輝とは相性が合わないのかも知れない‥
そんなことを考えながら読みすすめた。
けれど、この本は確かに魅力のある書籍であった。
その理由は、読んでいて、久々にときめきと驚きとが沢山あったからだ。さらには予測していないことであったが、大いに爆笑させられたシーンが散りばめられていた。
「プロというのは、なんて上手く描くんだろう」と感心させられた。
笑いの箇所は述べないことにする。
それは、この本を購入した人の喜びを奪いたくないからです。

○所感1.

読者の皆さまは、私が爆笑したことについて不可解に思われるであろう。
シルクロード、鳩摩羅什、そのキーワードに爆笑とは何かと‥
しかしながら、この本は意図的に人を笑わせるようには書かれていない。
誰しもが腹を抱えて笑う内容でもないかも知れない。
ただ、私には、あの「泥の河」の印象から、まさかの展開に右往左往したし、旅の途中で起こる突拍子もない出来事が可笑しくて仕方なかったのだ。

さて、私は、最初からこの本にグッと引き寄せられた。
それは見事に中国という広大無辺な国を描いていたのである。
中国の奥地は、日本の国土、人間、生活とはまるで別世界であり、読む者にカルチャーショックを与えるのである。
シリーズの6分の1、起承転結の起という段階で、すでに様々に考えさせられた。
鳩摩羅什の人生、兵馬俑(へいばよう)、孔子、広大な麦畑の風景、農村部での貧困と過酷な労働、文化大革命によって破壊された歴史遺産のこと、真っ黒な工場排水、大気汚染、賄賂、砂漠の浸食‥数千年の絶え間なき戦乱、ポプラの日陰のありがたさ‥
数々の問いかけ(おそらくこの物語の伏線)が、散りばめられていた。宮本輝の感じた虚しさとは、「強固な恐るべき不幸の風景ではないか」と感じた。

宮本輝は「現実を見た」のである。
現実の世界に行かなければ語れないリアリティで彼は語るのである。
「写真とかテレビ映像は、事実を映し出すが真実は伝えない。映像が伝えないもの、それは音であり、気温であり、匂いであり、微細な砂や埃である。
レンズではとらえきれないものが風土には蔓延しているのです。
私の中に創られていたシルクロードの映像は、まるで異なった映像へと変貌してしまいました」(趣意)
そして彼は言い放つ。激しい怒りを込めて。
「シルクロードというものをロマンチックに伝えやがったのは、どこのどいつだ」と。
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by sokanomori3 | 2014-11-24 06:19 | 一般書籍のご案内 | Comments(20)
Commented by momo at 2014-11-24 12:10 x
選挙になって大忙し。でも短期もいいなあ。宮本輝は読んだがこのポプラに臥すは読んでいない。菊川さんもおすすめでしょうかね?
Commented by ちよ at 2014-11-24 13:02 x
泥の河は 映画でみたような・・・
私の記憶では 子供をどこかで置き去りにするようなシーンがありませんでしたか?
かなり 前の話なので 何かと混同しているかも?
1つ思い出すと 記憶がつながるかも知れません
Commented by 千早 at 2014-11-24 19:07 x
私あまり本をどんどん読むタイプではありませんが、女子部時代に宮元輝が信心していると聞き、とかげという話が良かったと聞き、いくつか点字図書館で借りて読みました。宮元輝好きですよ。
五千回の生死 春の夢 優駿 彗星物語。
ひとたびはポプラに臥すって点字図書館にあるのかな?
Commented at 2014-11-24 21:01
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ゆりこ at 2014-11-24 21:23 x
宮本輝さんは信心されてますよね。以前の聖教新聞の記事の切抜きを長らく持っていたのですが、昨年捨ててしまいました。
私は「錦繍」が大好きですが、別の初期のエッセイ的な著作の中で、鳩摩羅什の生涯をいつか小説にするのが夢ということを書かれていたことを思い出しました。
十数年以上、著作から離れていたので、ついに鳩摩羅什に行き着かれたんだなあ、と感慨深いです。
Commented at 2014-11-24 22:43
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ゆりこ at 2014-11-25 10:42 x
宮本輝さんの新聞記事、見つかりました。平成元年9月の創価新報です。(聖教新聞ではありませんでした。)

「私のなかの創価学会」という表題で、入会のエピソードと未来部担当をされたこと、池田先生と創価学会のについても書かれています。入信してから作家を志したそうです。
「手低」の自己を磨く原点、「人間を幸福にする闘い」を文学に、とサブタイトルがついています。
大聖人の仏法を学び、池田先生の薫陶を受けている我々は、おのずと眼高となっていくが、それを社会の中で具現化する手が低いあいだは、「眼低手高」の輩を打ち負かすことはできない。
(売らんかな主義の三流ジャーナリストや読んで騒ぎ立てる人について「眼低手高」と批判し、)思想は低劣だが技に長けている。そんな連中に負けるのは恥だから、作家としていまだ「手低」の私は、絶えず創価学会という原点に立って、自分を磨きつづけなければならないのである。と文を結ばれています。
15年近く前の新聞記事なので、茶色に変色が激しいです。^^
Commented by ちよ at 2014-11-25 18:29 x
ゆりこさんのコメ
凄い!
Commented at 2014-11-25 19:37 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2014-11-25 20:04 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 10n5 at 2014-11-25 21:16 x
>ゆりこさま
宮本輝さんさんの記事の投稿ありがとうございます。今自分が疑問に思っていることの答えとして非常に腑に落ちました。まさにその内容!!!ノートにメモらせていただきました。m(__)m
ありがとうございます。
Commented by sokanomori3 at 2014-11-27 06:19
momoさん、お疲れ様です!
今回は、電撃作戦というところですよね。(^^)
この本は面白いです。
楽しくて、悲しくて、カルチャーショックで、魅力的で‥
大満足ですよ。
★菊川広幸
Commented by sokanomori3 at 2014-11-27 06:24
ちよさん、おはようございます。
泥の河はほとんどストーリーが残っていないのです。
河のほとりに家があり、貧しい家族の中に少年がいる。
白黒の世界に、川が流れ、太陽が川面に反射し、物静かな風景に少年がいる‥印象はそれしか残っていない。
多感な時代に読んだ本ですが、残っていないのです。
私は感動しなかった。
そのことは覚えています。
★菊川広幸
Commented by sokanomori3 at 2014-11-27 06:28
千早さん、この本は絶対にあると思いますよ。
それにしてもビックリです。
そんなに宮本輝を読んでいるなんて‥
この本、いいですよ。まるで中国旅行に行ったような気にしてくれるんです。1冊700円の本の代金で、中国旅行ができるんです。全6巻読んでも4000円少々‥それで広大なシルクロードの旅ができる。
私、旅行記という分野の本は初めて読んだのですが、面白いです。
ご一緒に、シルクロードの旅に行きましょう!(笑)
★菊川広幸
Commented by sokanomori3 at 2014-11-27 06:31
非公開さん、今回の出来事、ビックリですよ。
オカシナ人ですよねー。
世の中広い。ネットをやって、つくづく思います。
★菊川広幸
Commented by sokanomori3 at 2014-11-27 06:38
ゆりこさん、貴重な情報、誠にありがとうございます。
宮本輝、ますます好きになりましたよ。
私は宮本輝をほんの少し知ったばかり。
そのような心の底の本当の意志を知り、とても意外です。
奥深い人なんだなって思いました。
そして、闘われているんだなって、感心しました。
それにしても15年も前の記事をお持ちで、それはスゴイですね。
この記事に花をそえてくださった。
15年も前の記事。茶色になりながら‥
何だかジーンとして、涙が出そうです。(笑)
★菊川広幸
Commented by sokanomori3 at 2014-11-27 06:40
19:37さん、スゴイ情報です。
感動です。(^^)
★菊川広幸
Commented by sokanomori3 at 2014-11-27 06:45
20:04(19:37)さん、あたたかな人ですね、あなたさま。
Fさんどうでしょうか。
またいつか、私、お会いするかも知れません。
Tさんに渡れば、お渡しできるかも知れません。
★菊川広幸
Commented at 2014-11-28 12:33
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by sokanomori3 at 2014-11-29 11:28
12:33さん、こんにちわ。
素晴らしいプレゼントに感動です。^^
★菊川広幸


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