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風になってください


☆43編のエッセーを収録.

以下に、書籍「風になってください」の本の表紙写真を添付します。
風になってください_b0312424_6105137.jpg
「本の表紙には、コスモスの花(ピンクと赤)が咲いている爽やかな写真があり、表題の「風になってください」の黒文字と、サブタイトル「視覚障がい者からのメッセージ」の赤文字が表記されています」

「風になってください」という本がある。
全盲の著者(松永信也氏)が日常の出来事を詩的に書きつづったエッセーである。
本書に収められている43のエッセーの表題を 以下に示す。

「海に落ちる夕日、なぜサングラスをかけているの?、小さな手、飛行機雲、クリスマスブーツ、林檎、音響信号、エスカレーター、大晦日の夜の仕事、新しい白杖、道先案内講演会、白杖の先で落ち葉のコンツェルト、目くらさん、こっち そっち あっち どっち?、空いている席、外国人、あんな人達、暖かい文字、ささやかな幸福感、さりげなく、花束、春告雨、ヒヤシンス、波、深緑、シクラメン、清水寺、木漏れ日、キンモクセイ、喫茶店、ポケットティシュ、戦争反対、メルトモ、メリークリスマス、バイクの少年、シックスセンス、声の記憶、線香花火、雪の情景、夢、がんばれタイガース、阪急電鉄 桂駅、視線」の43編。

1つ1つのエッセーが、見事に著者の人生を描いている。
その中の「飛行機雲」と「音響信号」の2編をご紹介する。
(文章は抜粋であり、一部内容を改変しています)

○飛行機雲.

大阪に向かう電車に乗った。
白杖は折りたたんでお尻の後ろに置いた。
親子連れが乗ってきて、4人掛けの残りの座席が埋まった。

窓の外の雲を見ながら、子供たちの話が弾んだ。雲が電車に見えるとか、犬、ウサギ、さらにはテレビマンガの主人公らしきものが出てきたとか。
しばらくして、子供たちは不思議な雲を見つけた。
車窓から見える空に、一本の長い雲。
「トイレットペーパーみたいだ」と笑い始めた。
「神様がウンチをした」というところで、母親のストップがかかった。
次の駅で降りるらしい。
準備を始めたお兄ちゃんに、僕は声をかけた。
「楽しかったよ。あれはね、飛行機雲って言うんだよ。飛行機が飛んだ後にできるんだ」
子どもたちとお母さんは「ありがとう。さようなら」と言い残して降りて行った。

僕はしばらく とっても幸せな気持ちで空を眺めた。
そうそう、結局 あの家族は、僕が見えない人間だということに気付かなかった。
それはそうだろう。本人の僕が忘れていたのだから。

○音響信号.

音響信号は確かに便利である。
でも、安全ではない。
音響信号が教えてくれるのは青になったということと、だいたいの方向だ。
音に向かってまっすぐ歩くなんて そう簡単なことではない。
実際、日常の僕は たいがいどちらかにゆがんでしまう。
音響信号の音を察知しながら、歩行者の足音や、進入してくる車のエンジン音に気を配って、まっすぐ歩くなんて神業だ。

僕たちは視覚に障害を持った普通の人間で、特別な能力の持ち主ではない。
音響があろうがなかろうが、横断歩道を渡る間だけでも、誰かが肘を貸してくださったなら、それ以上の安全はないのだ。
ちなみに僕の地元の音響信号は、夜7時から朝の7時までは音が鳴らないようになっている。近所迷惑だからだろう。
京都の音響信号は南北がピヨピヨ、東西がカッコーの音が基本になっていて、よく方向を見失う僕たちにとっては結構役に立っている。
ただ、ちょっと違う土地に行ったら「通りゃんせ」が流れてたりして困る。
こんなところだけ分権なのかなあ。

音響信号なんかなくても、そこに暮らす人々が 気軽にサポートしてくれる社会、
そっちの方が未来形だと思うんだけど。
誤解のないように、
音響信号を否定しているわけではありません。
ただ、あれで安全と思われると困るものですから。

○所感.

何度読み返しても飽きない、素晴らしい本である。
今の話もあるし、子供時代の話もある。
読み進めて行くと 著者自身の全体像が見えてくる。目が見えずとも、晴眼者と変わらぬ生活があり、人生を深く味わい、楽しんでいることに気付かされる。

「飛行機雲」では、本人自身が 自ら 視覚障がい者であることを忘れている一コマが述べられ 微笑ましいエッセーになっているし、「音響信号」は、例え音響装置のある信号機でも、サポートをしてあげることの重要性が述べられている。
学ぶべきこととは、視覚障がいとは 特別、辛いとか 苦しいという問題はなく、晴眼者の心情や生活と何も変わらないのであり、しかし 移動や歩行といったことにおいてはサポートを受けることは「感謝に値する」ことだということである。

晴眼者が困惑するのは、目が見えないということの現実を知らないことで、手助けのつもりが大きなお世話、有難迷惑になることだろう。けれど、視覚障がい者のことを知ることは、小さな心使い、小さなサポートができることにつながる。
まったく見知らぬ人のサポートをすることは、最初、勇気がいるかも知れない。
けれど、この1冊を読めば、そのチャンスを生かすことができる。
読めば、全員が感動するだろう。そしてハッピーになれるだろう。
とにかく、このように素敵な本なのです。(^^)

「風になってください」の参考資料は、→ここをクリック!
続編の「風になってくださいⅡ」は、→ここをクリック!

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by sokanomori3 | 2014-05-19 06:37 | 視覚障がい書籍紹介 | Comments(8)
Commented by うるとらまん at 2014-05-19 08:56 x
音響信号が教えてくれるのは青になったということと、だいたいの方向だ。
音に向かってまっすぐ歩くなんて そう簡単なことではない。

そんな体験をしました。盲ろう支援の研修会で耳と目が使えない状態にして盲ろう者の世界を体験しました。声をかけられても、どこから声をかけられているかわからず恐怖感ありました。
疑似体験して分かること多かったです。
Commented by 千早 at 2014-05-21 22:56 x
サポートしてくれる人の状況は県民性も大きいような話を聞きます。
私の地域のように親切な勇気のある人が多いと本当に嬉しく暖かい気持ちにさせられます。
世の中捨てたもんじゃない。そういう風に思えてしまいます。
共感する所や、勉強させられる所、理屈抜きに感動しそうなステキナ本ですね!
Commented by ちよ at 2014-05-22 05:52 x
うるとらまんさん
私は、後ろから声をかけてはいけない と 教わりました
Commented by sokanomori3 at 2014-05-22 06:01
ちよさん、それは「横断歩道上のこと」ですか?
★菊川広幸
Commented by 千早 at 2014-05-22 18:29 x
ちよさん、後ろから声はかけてもよいけれど、手引きをする時に、見えない人を前にして、見える人が後ろから誘導するのがよくないんです。
これは怖いんです。
見える人の肘か肩を、見えない人が持って、見えない人の方が半歩下がって歩くのが怖くない歩き方です。
後ろから押したり、急に腕や白杖を持って引っ張ったりされると困ります。
見えない人は、話かけられても、相手がこちらを向いているかが見えません。
なので自分に言っているのかどうかよくわからない事があるので、とんとんと肩を叩いて「何かお手伝いしましょうか?」などと声をかけてもらうと一番助かります。
Commented by sokanomori3 at 2014-05-22 20:56
なるほど。
★菊川広幸
Commented by ちよ at 2014-05-23 18:36 x
そうでしたか
後ろから 声をかけちゃいけないのは ビビリの人に かも?(笑)
Commented by 千早 at 2014-05-23 22:37 x
あはは、ちよさんそうだね!


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