宿命を使命に変えた人
☆ローレンス・スキャッデン氏の生涯.
スキャッデン氏は、書籍「期待を超えた人生」の著者である。
彼は5歳の時、バスルームでタオル掛けを引っ張ったとき、タオル掛けの留め金(とめがね)が外れ、転倒して左目を深く傷つけてしまう。
数ヵ月後、右目は交感性眼症(こうかんせいがんえん)で失明。両眼の視力を失った。
交感性眼炎とは、傷ついた部位の機能を取り戻すために全ての力を集約した強い免疫力が体の一部分に異常に働き、正常な部位が障がいを起こすもので、左目の損傷から右目の機能が失われたものである。
こうして、ある日を境にローレンス少年の視力は完全に消失した。
全盲になってからも兄や近所の子供たちと遊んでいたが、ローレンス少年が参加できる遊びはすぐに少なくなり、やがてまったく無くなった。
○盲学校に入学.
彼は1945年2月、ロサンゼルス32番街盲学校に入学。
初めて学校に行った日のこと。
クラスには1年生、2年生の10人くらいの子供たちがいた。多くの生徒は、自分自身で動くことを習っていないため、動き回ることを理解していなかった。
「ジャンプ」という言葉すら知らない子供もいた。
点字を学んだ。最初の単語はボール、2つめはキッチン、3つめは家‥
点字を読んだとき先生が褒めてくれた。
ローレンス少年は有頂天になり、勉強に熱中する。
数学、地理、科学‥彼は勉強が大好きになった。
学校の人種構成は、50%が白人、25%がラテンアメリカ系、15%がアフリカ系、10%がアジア系とユダヤ系だったが、生徒たちは出身や宗教の違いには気をとめていなかった。
肌の色の違いは、もちろん見えない生徒には何の影響もなかった。
お互いに同じに見えていたのである。
彼は、盲学校の人種的多様性の環境から偏見のない人格を育まれた。
○科学者になる.
当時、盲人の行く末は、ミュージシャンかホームレスだった。
両親は、街角で鉛筆を売っている盲人のようにしないためにローレンス少年にピアノを習わせたが、教師は「この子は学習能力が音楽の才能よりもはるかに高い」ことを理由に、高等教育を受けさせるように導いた。
ローレンス少年は、やがてレッドランド大学に進学、卒業後、カルフォルニア大学院で政治学を修め、さらにパシフィック大学で心理学の修士を得た。
彼は「触角と聴覚による盲人の知覚に関する研究」を進め、やがて見えない人が触って分かるビデオ画像ディスプレイ技術の研究を行うようになった。
1968年、触覚的視覚代替システム(TVSS : tactile vision substitution system)の試作機が完成する。
以来、彼はこの装置を使い、盲人を協力者として集めてテストを繰り返すうちに、個々、盲人といっても間隔、能力が違うことを学んだ。
スキャッデン氏はやがて、200近い論文や記事を書き、有名な「ネイチャー」誌に論文掲載までも果たすのである。
やがてアメリカ盲人援護協会から最高の栄誉であるミゲルメダルを受賞、科学者としての揺るぎない地位を獲得する。
○勝利者になる.
1969年、テレビ脚本家からの依頼で、スキャッデン氏のプロジェクトを使いたいとの打診があり、放送されることになった。
彼の元には沢山の手紙が届いたが、有名になると批判も増えた。
嫌がらせの手紙、詐欺まがいの手紙が沢山寄せられた。けれど彼は、博士号を取得、大学教授となり、障害福祉分野で大きな影響をおよぼす人物となる。
彼は、ソニアという女性と結婚、2年後に女の子が生まれた。
「視力があったら何をやっていたと思うか」という質問に、彼は次のように答えている。
「私が見えていてもこれ以上の成功はしなかったでしょう」
「目が見えていたとしても、見えない場合よりも多くの業績を挙げられたとは思いません」
「私が感覚知覚や障害のある人のための技術分野を専門としたのは、私が盲だったからです。もし目が見えていたら、数多い科学の分野で、私をワクワクさせる分野は何だったかを想像することはできません」
まさに、スキャッデン氏は「宿命を使命に変えた人生」である。
障がいを武器として世に貢献した大勝利者である。
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by sokanomori3
| 2014-09-20 17:30
| 視覚障がい書籍紹介
|
Comments(5)

ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
18:43さん、何年振りでしょうか。
こうしてコメントを頂けるなんて、本当にビックリで、とっても嬉しいです。
先ほど、メールをいたしました。
どうぞ、御受理くださいませ。(^^)
でも、本当にめちゃくちゃ懐かしいですよ。
お元気そうで何よりです。
私も元気でやっています。
お声掛け、本当にありがとうございました。
★菊川広幸
こうしてコメントを頂けるなんて、本当にビックリで、とっても嬉しいです。
先ほど、メールをいたしました。
どうぞ、御受理くださいませ。(^^)
でも、本当にめちゃくちゃ懐かしいですよ。
お元気そうで何よりです。
私も元気でやっています。
お声掛け、本当にありがとうございました。
★菊川広幸

「もし目が見えていたら、数多い科学の分野で私をワクワクさせる分野は何だったかを想像することはできません」
目がみえないからこそ「心眼」で見えるようになるのですね✨
目がみえないからこそ「心眼」で見えるようになるのですね✨

障害を武器にして世に貢献した大勝利者、正にその通りの人生ですね。人は、何のためにいきるのか、どれだけ自分が生きた証を残せるか、その事を、避けて通る事ができない年齢となりました。今、地域の10年後20年後の広布を託せる若き壮年と膝詰めの対話をしています。若き壮年の成長と共に私自身も成長していかなければならないと決意しています。私も彼らも、楽な道、苦労したくない道にハンドルをきりたがります。ローレスさんの話には、決めた広布の道にまっすぐに突き進む力を与えてくれます。ありがとうございます。
ランさん、うるとらまんさん。
コメント、ありがとうございます。(^^)
★菊川広幸
コメント、ありがとうございます。(^^)
★菊川広幸
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