期待を超えた人生
☆見えない生活を楽しむ.
以下に、「期待を超えた人生」の書籍表紙の写真を添付いたします。

このほど、全盲の科学者ローレンス・スキャッデン氏の本を読みました。
その著者の人生は、→ここをクリック!
本書「期待を超えた人生」の中には、興味深い内容が多数語られています。
その一部を抜粋し、以下にご紹介します。
(コンパクトにするため文章を変えています)
○反響音.
私の親しい友人には、盲導犬を使っている人がたくさんいます。
「なぜ盲導犬を使わないのですか?」と聞かれるとき、私はときどきふざけて「白杖には餌をやらなくていいからね」と答えます。
これも事実ですが、現実には、忙しいスケジュールに、盲導犬を散歩させたり、餌をやったり、手入れをしたりする時間を使いたくなかったのです。
私は盲になってから、大事なスキルを学びました。
それは教えられたものでも、頭で理解したものでもありません。
両親は、私が遊びに行くときに電柱やクルマを避けて行くのをよく見ていました。
私に若干の視力が残っているのだと思っていたらしいのですが、実は足音からの反響音を使っていたのです。これを反響定位(Echolocation)と言います。
1749年、フランスのデニス・ディデロは、「一人で歩く盲人が、障害物を発見して避けることができる」ことを観察して論文を書きました。
ディデロは、その人の顔に当たる空気の流れが変わるのだと結論づけました。
その後、150年間にわたり、いろいろな議論が繰り返し行われ、温度変化や磁気、電気、あるいは第六感であるとも言われました。
これに対し、ダン・キッシュの研究では、必要不可欠なことは「聴覚」で、周囲に騒音がなければ対象物を安定して感知することができると結論付けました。
その通りです。見える人の多くは、実際に起こっている反響音をほとんど聞いていませんが、盲の人はいつも周囲の音にすべてを集中しています。
私は舌でチッという短い音で距離を測ることができます。
ロサンゼルスの学校では、この舌打ちは悪い習慣だということで「舌打ちをしないように」と生徒に言っていましたが、先生はこのテクニックがいかに私たちに役立つものかを知らなかったのだと思います。
反響音は、弊、壁、垣根の位置、木の葉の茂り具合などの情報を与えてくれるのです。
私の反響定位能力は、若いころのように鋭くなく、年齢と共に聴覚が鈍ってきています。
かつて聞けた高い音はもう聞こえません。
20代、30代のときのものとは比べ物になりません。
○人生の楽しみ.
青い海、緑の森林、滝、小川、白い雲の塊が浮かぶ青空、日没、満天の星空‥これは私が最も大切にしている、最も恋しく思う光景です。
でも、私はこれらを体験し記憶できていることを幸せに感じています。
風景の説明を受けることは大変嬉しく、詳しければ詳しいほどありがたいです。
妻、娘、あるいは孫の顔を見えるようになりたいか、と聞かれることがあります。
もちろんそう思います。
でも、私には彼らがどんな顔なのかは想像ができます。
そして、この内的な覚知で充分だと思うのです。
美しい声を聞くこと、すばらしい香水や自然の香り、そして肌から伝わる触感‥
視覚は、離れたところにある美しい光景を知るときに強みを発揮しますが、視覚以外の要素は状況においては、視覚よりも向いていることがあります。
目の見える人は、視覚が他の感覚チャンネルを減退させるままにして、得られるべきその楽しさと美しさを逃しているようです。
私は行ったことのないところに行くことが大好きです。
有能なツアーガイドが付いてくれると、ちょっとした短い旅行でも楽しいものになります。
一方、だめなツアーガイドは、本来ワクワクするようなはずのもを退屈なものにしてしまいます。
私は音楽を聴くことが好きです。本を読むことも好きです。
社交ダンスは運動として好きですが、その面白みは、音楽に合わせて踊るときに、しっかりと協調するスキルを他の人と共有するところにあります。
さらに私は、自然の中を歩き、他の人と自然を共有することが大好きです。
嫌いなものは、ほんの少しだけです。
同じことを何度も繰り返して議論する委員会は嫌いです。
度量の狭い人も嫌いです。視野の狭い人とは話をしたくありません。
意見を交換し、実りのある会話ができないからです。
私の人生は、これからも大いに楽しめるものであり続けると思います。
とくに、私が付き合いを大事にしている人と共有できるときはそうです。
○著者からのメッセージ.
私の生涯を振り返るとき、タオル掛けから後ずさりし、兄が母に「ラリーの目から血が出ている」というのを聞いている自分を思い出します。
60年以上経った今、その少年と母親のことを悲しく思いますが、私の悲嘆はそのとき以上になることはありません。
その少年は、喜びと成功の人生、すべての悲しみと嘆きを超えた経験を学んだのです。
さて、私から伝えたいメッセージがあります。
盲の子供に、私と比較して「ローレンスはこれをうまくやったのに、なんでお前はできないんだ」と言わないでください。才能は皆、違っています。
子供が小さい時には、その子の才能や興味を性急に判断すべきではありません。
いろいろなことをやらせてみるべきです。
その中で、両親ができることはいくつかあります。
盲の人も、見える世界の中で仕事を競い合い、地域の活動に積極的に参加していく必要があるので、できる限り自立することを助けることです。
服を着ること、身なりを整えること、一人で食事をすること、自立歩行などです。
そして、両親は、できる限り毎日、いろいろなことを書いている本を読んであげることを強く勧めます。遊びのためではなく、知識的基盤を作り上げるためです。
そして点字を学ばせることです。
加えて、画面上のすべてが読める専用ソフトの入ったコンピューターを持つことは絶対に必要だと思います。
これはスクリーンリーダーと呼ばれ、キーボード操作とコマンド操作を憶えれば、盲の生徒も他の生徒と充分に競争することができるのです。
コンピュータのパワーは、とても大きなものです。
次に、読書感想文を申し上げます。
その記事は、→ここをクリック!

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by sokanomori3
| 2014-09-21 16:02
| 視覚障がい書籍紹介
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