うんこの海の幸せ（閲覧注意）

☆一所懸命の仕事のご褒美.

介護施設での排泄介助はとても重要な仕事です。
トイレを使う身体能力失った障がい者にはオムツとパットを使います。
これらには吸水性ポリマーが入っていて、排尿を吸着しますから
尿を外に漏らさず、布団を汚さないためのものです。
ただし、限界を超えたり装着が甘いと漏れ出します。

このオムツをめぐっての物語に枚挙の暇はありませんが、
どのような業務なのかについてきょうは語りたいと思います。

人は食べることと排泄することはセットで、その循環で生命を維持しています。
ですから排泄がスムースであれば健全な生活になります。
しかし、運動不足の施設利用者は便秘に悩まされることが多く、
4日ほど便が出ないと、5日目には下剤が投与されます。
この下剤により、溜まった便が一気に出ることがあり、
その場合は、いわゆる「うんこの海」になるのです。

最初の頃はこの状態を恐れ、できるなら自分でやらず、他の職員のときに
出てほしいと願ったものですが、避けられないことなので
来るなら来いと立ち向かう気持ちが芽生えました。
さらにきれいになったときの利用者の安堵の顔は、
職員冥利に尽きる喜びにもなりました。

尿や便が使命維持に必要不可欠というプロ意識が芽生えると
汚いとか気味悪いとか、そういう感情はなくなるものです。
それは嘔吐も同じで、昔の私は他人の嘔吐の臭いを嗅ぐだけで
自分も嘔吐するぐらい嫌なものでしかたが、
今はまったくそういうことになりません。
使命感というのは、人をこんなにも変えるものかと
自分でも不思議なぐらいに平気なのです。

先日、一人の体の大きな利用者（男性）のうんこの海を介助しました。
「よし、見事にキレイにするぞ！」と決意して作業を開始しました。
まず、グローブを右手に3枚重ね、左手に2枚重ねで装着しました。
次に防水シートの上にさらにシートを敷いて外堀を埋め、
そこからオムツを開き、パット部分に清拭タオルを投入して
排泄物を取り除き、洗浄剤で拭き上げました。
そこから新しいオムツ、パットに交換し、
シートを取り除き、衣服、寝具を整えました。

ベテランであれば作業時間（廃棄含む）は20分ほどですが、
未熟な私は30分近くかかりながら何とかやり遂げました。
このような作業は、格闘技の試合そのものですが、ヘドロの海が
美しい海になったようで大いに達成感がありました。

この利用者、右マヒで言語障害がありしゃべることができません。
その人が唸り声を出すので、何だろうと顔を見ると
軍隊の敬礼のようなジェスチャーをして、言葉にならない声で
「こんな大変な作業してくれてありがとう！」と伝えてくれました。
私、ジーンと痺れて、幸せ感で一杯になりました。

利用者の多くは、一生懸命に働く介護職員に深い感謝の念を抱きます。
ただし、全員が全員ではありませんし、技術が未熟な行為には
腹も立てるし、不快な思いにふてくされもします。

ともかく、私はこれからさらに技術を磨き、抜苦与楽を
スムースにできる職員に成長したいです。


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